ALCパネルにタイル貼り。なぜ相性が悪い?雨漏りの原因にも

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ALCパネルにタイル貼り。なぜ相性が悪い?雨漏りの原因にも

2020/07/23

動きに追従するS造ALC外壁。その特性にタイルを貼っていると

建物にはいろいろな状況を考えた機能があります。地震に備えた耐震性や振動、揺れにも対応しなければなりません。S造(鉄骨造)はこれらの動き(ムーブメント)を受け流す特性があります。その特性を活かすよう外壁にALCパネルを外壁に採用することは多くの建物にみられます。図は地震などの大きな揺れを受け流すメカニズムをあらわしています。ロッキング工法といわれ鉄骨の梁に固定金具(アングル)を噛ませてボルトじめしています。極端にいえば、鉄骨にハンガーを引っ掛けた感じです。建物の揺れにあわせてスイングするように、動きを受け流しているイメージです。パネルとパネルの間にシーリングを打設することで防水性のみならず、緩衝の機能性も機能としてもたせています。建物は地震のみならず、自動車などの振動や、風による揺れなど、微細ながらも常に動いている状態です。その動きに耐えるのではなく、受け流す特性です。

 

ALCはとても水に弱い材質です。その上に防水機能にすぐれるタイルを貼るのは一見有効に見えます。しかし下地としてのALCパネルとタイル貼りの外壁は、数点の観点から欠点がある組み合わせになります。今回の記事は建物の動きに対しての記事にしたいので、まずはその観点からの欠点です。上記のようにS造(鉄骨造)、ロッキング工法のALCパネル外壁は動きを受け流す特性の構造ですが、上にタイルを貼ると逆にその動きを固めようとしてしまっていることになります。しかし、タイル貼りで固めても建物は動いています。なので、タイルも追従して動けば問題は軽減されますが、多くの場合は図のようにALC緩衝目地の上でも被せるようにタイル貼りされているのが現状で、特に建物の角部、開口部付近、2階〜3階付近など、建物の動きが逃げてくる場所の緩衝目地の上にまたぐように貼られているタイルは緩衝目地にそってクラックが入りやすくなるなど、劣化しやすいものとなってしまっています。また、タイルより弱いタイル目地も下地が動きやすいALCパネルなので欠落しやすくなります。

ディフォルメですが図を見ると揺れなどの動きでタイルに負荷がかかるのがわかると思います。

S造(鉄骨造)の柱や梁もALCパネルも揺れに対して追従しているのでそのもの自体は変形しません。それに対してタイルは追従せず固定して踏ん張っています。この相対する特性がタイルやタイル目地の欠落や剥落に繋がるということです。地震などの大きな揺れだけではなく、建物は僅かながらでも動いています。車の振動、風、住人の動き、気温差による伸縮、乾燥による伸縮など、影響の大小はともかく動いています。負荷の大小はありますが、RC造の建物に比べるとタイルやタイル目地に負荷がかかりやすい造りということになります。

雨漏りとの関連性はこちらを参照ください。

写真はまさに、角部のALC緩衝目地上にまたぐように貼られたタイルに連続した縦筋のクラックが入っています。ALCパネルの動きに追従できず割れてきたものです。タイルの浮きはまだ出ていませんでしたが、クラックより雨水が侵入します。エフロが出たり、ALCパネルが浸水したり、ALC緩衝目地自体が劣化しているとさらにその目地の裏まで雨水が侵入していきます。タイルを貼り替えても最初の恐れが高い部分になります。最初の可能性があるので、大規模修繕の時期がまだ先の場合、貼り替えずに撥水塗装(クラックが微細な場合)やシーリングの刷り込みなどの応急処置でも、雨漏り予防のためには処置をしておいたほうがいいです。雨水の侵入により今は浮いていなくても、他タイルよりは剥落の可能性もいずれ上がってきます。

タイル目地も欠落しやすくなります。タイルとタイルという固い素材を支えているタイル目地は、タイルと違い吸水性があります。そこに動きが大きくなると当然欠落しやすくなります。タイル目地の欠落も雨水をALCパネル自体に進入させる原因になります。雨漏りの原因になりますので、こちらも大規模修繕の時期に合わせた工事の選択が必要になります。先程のタイルのクラック同様、原因自体が改善されることがないため、最初のおそれが残ります。

写真のようにほとんどの目地が欠落している場合、モルタルで修繕せずにシーリングを打って雨水の侵入を防ぎ再発を防止する工事も選択肢になります。

まとめ
・S造ALCパネル外壁は建物の動きを受け流す特性のため、それに追従しないタイル貼りはタイルの劣化が激しくなる。

・特にALC緩衝目地上をまたぐように貼られたタイルは縦筋に長いクラックが入りやすい。特に動きがにげてくる角部、開口部、動きの支点になる2、3階付近のタイルは劣化しやすい。

・タイルと固さの違うタイル目地も動きに影響をうけ、欠落しやすくなる。

・各劣化は雨漏りの原因になり得る。処置は大規模修繕の時期、再発のリスクなども考え施工内容を検討する。

稀にですがRC造の打ち継ぎでも被せてタイルを貼っている建物があります

その部分は同様の原理でタイルやタイル目地の劣化が進行します

RC造は建築施工上の特性として必ず打ち継ぎ部分があります。ALCパネルとは特性がことなりますが同じように緩衝の目的も含めた打ち継ぎ目地があります。ごく稀にですが、この打ち継ぎ目地上にタイルを貼っている建物があります。外見上打ち継ぎがどこにあるのかわからない建物はそのことを頭に入れておく必要があります。打ち継ぎの場所はきまっているはずなので各階の床あたりを確認して、打ち継ぎがわからないツライチのような建物の場合は、その部分に関してはALCパネルの建物と同様の注意が必要です。

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