外壁で塗膜劣化、タイル壁劣化が原因で雨漏りするメカニズム

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シリーズ:雨漏りの原因を探る 外壁自体の劣化

2020/06/15

シリーズ:雨漏りの原因を探る

外壁編

少し大袈裟かもしれませんが、人類は雨風を凌ぐため何千年も建物で暮らしてきました。現在においては更により快適に生活できるように建物で生活しています。その中で快適さはかりか、元々の目的である雨風を防ぐという目的も脅かすのが雨漏りです。建物の形や構造が多様化している現在、雨漏りの原因も多様化しています。

また、情報社会よ言われるように、ホームページなどで簡単に情報を集めれるようになり、雨漏りに関する記事も多く見られるようになりました。ただ、多様化している雨漏りの原因に対して答えになるような記事にはなかなか出会えません。

決めうちのように、ALCならシーリングの交換、窓枠でもシーリング交換と、いかにもという記事が多いです。それが悪いというのではありません。ただ、雨漏りの原因はやはり現場を見ないとわからないことの方が多く原因も多様化しており、複数の事情が絡んでる場合もあることを知っていただき、お客様の建物管理の一助になればとの思いで、このシリーズを書いています。

よりわかりやすくなるよう都度更新しております。記事に対するご質問等ありましたら、お気軽にお問い合わせください。お客様からの問い合わせが記事を書くうえで一番参考になります。

シーリングの劣化だけではない雨漏りの原因

主にALC外壁、及びALCxタイルの外壁で、塗膜劣化、タイル劣化が原因で雨漏りするメカニズム

まずは、一般的なALCパネルが塗膜の劣化で、雨漏りする原因を説明します。

 

 

ALCはAutoclaved Lightweight aerated Concreteの略で高温高圧蒸気養生された軽量気泡コンクリートと訳されます。軽量のため新築施工時の扱いの良さからよく使われる外壁素材です。ただ、気泡コンクリートと言われるように、気泡を含むので、吸水性が高くなってしまっています。

 

気泡があって吸水性が高いというイメージで、下記の図を見てください。S造ALCパネル外壁の略図です。略図ですので、雨仕舞いや、防水シートなどは割愛してますが、染み込んだ水の出口を考えて見てください。ALCパネルをイメージしやすいようにスポンジなど、気泡があって、吸水性が高いものに置き換えて、イメージしてください。

※吸水イメージでの例えでALCの特性がスポンジに似ているわけではありません。

 

外側から水をかけ、スポンジがどんどん水を吸っていったとして、水はどこにいくかわかりますか?

裏に回ってアングルや鉄骨に水が溜まってしまったり、重力で下へ下へと溜まっていったり、出口を特定するのが非常に難しくなります。

出口が特定しにくい外壁の水の染み込みですが、窓枠周りのALCパネル略図を見ると、窓枠周りは出口になりやすい構造になっているのが分かります。

窓枠からの雨漏りだと、窓枠周りのシーリングの劣化が原因と思いがちですか、シールを交換しても雨漏りが治らない場合が往々にしてあることをご認識ください。

これはイメージのため、パネルをスポンジのような吸水性で考えた場合ですが、塗膜で防水コーティングすることで、スポンジに水が染み込まないようにしているので、ALC外壁の塗装が雨漏り防止につながる場合がある重要な要素になります。

また、ALCはスポンジと違い、水を含むと脆くなる特性もありますので、美観や雨漏りの観点意外にもALCは濡れないようにする必要があります。

ALCのタイル貼り外壁になるとさらに特定が難しくなる要因が増えます

ALCにタイルを貼っている建物に関しては、塗膜の変わりにタイルを貼ってALCをコーティングしています。塗膜の変わりに頑丈なタイルを貼るので、一見とても頑丈に見えます。塗膜よりメンテナンスフリーに感じてしまいがちです。確かに、タイル自体の防水性は風呂場や、水回りでも使われるくらい、高いものです。

ALCとの組み合わせが悪い理由はムーブメントを考えると明らかになります。

ALCパネルは五重塔や橋のようにある程度ムーブメントを受け流す特徴があります。そのためパネル間のシーリングも緩衝目地とも呼ばれます。そのムーブメントに追従するようなタイルの貼り方なら問題は少ないのですが、殆どの場合緩衝目地をまたぐように貼られています。動きを受け流すものがタイルによって固められているため、タイルに負荷がかかりやすい状態になっています。ALCパネルのタイル貼りはRCのタイル貼りや、ALClのパネルのみの外壁に比べ痛みやすい箇所(弱点)が増えてしまいます。

写真のようにALCパネルの緩衝目地をまたいだタイルは縦に大きくクラックが入りやすくなり、タイルを張り替えても再発の可能性が高い部位になります。

雨水がこの、クラックやタイル目地劣化部から入り、ALC裏まで染み込んでしまった場合、場所の特定は難しく、1箇所からの浸水と断定することも難しくなります。また、塗膜のみのALCと比べ、染み込んだ雨水の乾きも悪いことも、好ましくない状態です。

まとめると、

 

・ALCは吸水性があるため、コーティングが必要

・コーティングが劣化し、ALC自体が水を含んでしまうと、水の出入り口の特定が難しい。

・ALCのタイル貼りは一見高防水だが、ムーブメント対策ができていない場合が多く、雨水の侵入を許すクラックや、タイル目地の劣化を引き起こしやすくなっている場合が多い。

 

ということになり、雨漏り調査の場合、以上を踏まえた調査が必要になります。外壁の雨水染み込みの場合、雨漏りのメカニズム上、雨が上がったあとも少しの間漏れ続ける場合があるのですが、お客様からすれば、雨後の雨漏りと雨中の雨漏りの区別などつきにくいと思いますが、雨降り後しばらく雨漏りがづづくようですと、ALCが水を吸ってる可能性が高くなるので、一つの推測基準になりますので、雨漏りの際の漏れ方を観察いただいておくと、参考になります。

 

ムーブメントの観点から、目地補修、クラックタイルの貼り替えなどは早いスパンでの再発が懸念されるため、浮きなど剥落を考慮しなくて良い雨漏りのみの対策の場合撥水材の塗布が有効と思います。

タイルの貼り替えや補修となると打診調査を含めた大規模修繕になる場合もあります。雨漏り対応としても、大規模修繕の時期などお客様の状況や計画に沿ったご提案が必要になってきます。

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