穂高小屋番レスキュー日記

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ブログ

普段本の紹介しないのですが、、

2020/05/05

本のご紹介

穂高小屋番レスキュー日記

宮田八郎氏

私は、各ブログでも本の紹介はしません。良い本なんていうのは、人によって違いますし、まして、読んでおくべき本なんて、自分が言われると嫌なので、です。

山登りのいろいろ、リスクマネジメントや、行動と結果など、感銘を受ける本だったので、ブログネタを探しにパラパラとまた一度、と読み直していたら、結局、意外なところが心に残り、この本について少しご紹介したいと思いましたので、今回は特別にご容赦ください。

宮田八郎氏は「誰よりも穂高を愛し、穂高に暮らし、仲間と共に多くの遭難者を救出(本書帯 山と渓谷社 引用)と言われた、穂高岳山荘の元支配人です。残念ながら、2018年南伊豆の海でシーカヤックの事故でお亡くなりになっております。私などでも知っている有名人でした。穂高で一度見かけたことがあります。

「われわれは穂高で人を救うことにかけてはプロフェッショナルです。レスキューのたびに命なんか懸けていてはやっていられません。ただし山という存在を相手にする以上、時として予想もしない状況に陥るかもしれないこと、避け得ない不確実要素が存在すること、そして間違いなく自分たちが危険な作業をやっているのだということを常に心に刻んではいます。結果として「命が懸かってしまった」ことはあったかもしれないけれど、それですら僕には織り込み済みでした。(本文より引用)

こういう考え方のような人です。上記記載の通り、他にもいろいろ教えてくれる本です。読むたびに残る場所は変わるのでしょうが、今回、「おにぎり」という、彼から奥さんへ当てた感謝の気持ちに心を打たれ、思わず、涙してしまい、こうしてブログを書いています。あまり、本や映画で泣くことはないのですが、涙腺が弱くなってるのかな、、と思いました。

「おにぎり

(前半略)

いつもありがとう。
あなたがいてくれるから、おれはこうしてまた今年も穂高でがんばれました。
そしてあなたが作ってくれるおにぎりがあったから、また何度も山へ登れたのです。
標高差1500mの白出沢を、おれはもう200回は登っていると想う。累積およそ30万m。。。。スゲーな、エベレスト30回以上やん。
その途中の、ちょうど中間点あたりの「荷継ぎ」で、おれは必ずあなたのにぎってくれたおにぎりを頬ばります。ジャン(ジャンダルム)を見上げながら、時には雨に打たれながら。
そのおにぎりは、おれにとっては特別な食いもんです。下界への決別と山への覚悟という、なんともいえん隠し味のするものなのです。
それは俺にとっては、どんな高級な料理よりも美味しい食べ物であるのです。
いっしょになる前から「この人のおにぎり、美味しいなぁ!」と知っていて、「こんな美味しいおにぎり、一生食えたらおれの人生、しあわせやろなぁ」と思ったのは間違いではなかった。」

引用しつつ、また、涙が、少し。

「あとがきにかえて」に奥様の宮田八郎についてが書かれています。ああこういう人が、あの人の奥様なんだな、と思える、こちらも素晴らしい文章でした。

 

 

彼のカメラです

穂高岳山荘で涸沢カールを撮影している彼を見かけました。何を撮ってんだろう、とカメラを被せて撮ったものです。下の方にちょこっと写ってるのが彼のカメラです。彼のみているものを見てみたい、と、思わせるような文章を書く人でした。。

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